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マンション管理士受験講座
そろそろ、本格的な勉強体制に入っている
方も多いと思います。 合格率は過去3年間
は7%前後と厳しい状況です。
しかし、万全の備えをすれば、恐れる事はあり
ません。 その為の一里塚として、効果的な勉強をお伝えした
いと思います。
2004年4月1日(エープリル・フールですね)
マンション管理士 橋本 佳冶
第1講
1. 今の予定としては、合格体験記から始め法律科目
(民法や区法や適性化法など)へと連載する予定です。
2・3回目の試験の傾向からして、法律科目の重要性
がはっきりしてきました。
もちろん、そのすべての項目について検討する事
は出来ませんし(量が多すぎます)、又 不要だと
思います。
ある程度項目を絞り、ある程度深く理解
する訓練をすれば、その考え方が他の分野にも
応用出来ます。法律的な考え方を身に付ければ
勉強はずっと楽になります。 詳しくは、
今後の展開で書いていきます。
2. 私の受験対策は、2002年の1月16日から
はじまりました。従って、12月のテストまで
約10ケ月費やしました。
多分、平均的な準備期間より長いと思います。
このよう 早く始めたのは、
(イ) 受験する以上は、必ず一回で合格したい
(ロ) 受験当日どんなに体調が悪くても、合格
したい
と思っていたからです。
その為には、合格ラインの2倍の実力を身に
付ける事が必要だからです。
と同時に、なるべく費用をかけないというのも
コンセプトの1つでした。(私は、趣味が
多く、そこに費用がかかっていたからです。)
その為には、所謂予備校へは参加しないで独学で
やる事が必要です。 勿論、良い予備校の
良い講師にあたれば、その有用性を否定する
ものではありません。 経済が許せば、
それに参加する事もよいと思います。
但し、書籍.類にはお金をかけました。
予備校に比べて安いし、又、マンション管理士の
受験対策の書籍の分野はまだ方向性が
見出せず、長所や短所がバラバラという
印象をもっていたからです。
3. 次に、勉強時間ですが、1日約2時間は費やしました。
通勤前に1時間、夕食後に1時間です。
準備期間が10ケ月ですから、約600時間
を費やした事になります。
家族サービスやら、友人との交際に
時間がかかり、全く勉強できない日もありますが
、その時は、翌日以降にその不足分をカバーして
、平均2時間は、確保 しました。
では、具体的に、どのような内容を、どのように
勉強していったかについては、
次回以降で述べます。


第2講
1. 私の勉強方法は、イ.基本書の通読、熟読。 ロ。 参考書の斜め読み ハ。問題集の解答 とに分けています。
イ。について
どの国家試験に付いても言えることですがやはりこれが基本です。中には、複数の本を同じような比重で読まれる方もいらっしゃいますが、頭が混乱するだけで、努力の割には報われません。
基本書を読む際に注意すべきは、まず森の姿を頭に入れておく点です。管理士試験の射程範囲を体系的に理解することが必要です。 これは何も難しいことではありません。その基本書の目次の意味を、自分なりに理解すればよいのですから。 10分間目次を眺めていれば、どなたにも出来ると思います。それで無理な場合は、目次をノーとか書き写せばよいと思います。 この作業を終えてから、ここの分野を読み込んでいけばよいのです。
では、ここの分野を読み込む際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか? まず、重要度に応じて線を引く作業が能率的です。2回目、3回目に読むときの時間の節約になりますから。その中でも、最重要と思われる個所についてはノートなりメモ帳に書いて覚えることをお勧めします。私も、各分野についてこれを作りました。試験前には。2,3時間で読むことが出来、大きな自信になりますよ。
基本書として何が良いのでしょうか?
これは、各人の判断にまかせなければなりません。ただ、あんまり薄すぎる本はお勧めできません。なぜなら、合格に必要な量がないからです。薄い本を完璧にマスターしたが、試験には落ちたでは浮かばれません。 ちなみに私は、東京法令出版の「わかりやすいマンション管理士テキスト」を使用しました その理由は2色ずりで読みやすく、著者なりの重要度が明示されていたからです。
ロ。について
参考書はなんと言っても住宅新報社から出されている「マンション管理の知識」しかありません。
この本は絶対と言ってよいほど必要です。それはマンション管理センターの編著だからです。試験を主宰している団体の本は、相手が手の内を見せているのですから、よだれを出して、舌なめずりをよみまましょう。
注意するのは、この本はまとまりが悪く、理解しずらいが多く基本書としては不適当だという点です。
今年の試験に警備業法の問題が出ていました。 某専門学校の感想では、この問題は難しくて正解できなくても仕方がないといっていました。ひどい専門学校です!「知識」には十分書いてあります。 私は、90パーセント以上の確立で出題されると思っていました。だから、3秒でとけました!
ハについて
これについては数冊の問題集をやりました。多くの問題をやることにより、試験になれる必要があるからです。 問題集の中では、「完全想定300問」が出色の出来です。なぜなら、この本は前述の「知識」に準拠して作られており、解説も正確だからです。ーーえらそうに言うようですが他の問題集には明らかな誤りがかかれていることが結構あります。私は、電話で数度指摘しましたーー本を読むときには、批判的な視野が必要です。 この講座もそのような視点で呼んでいただければ、私の希望は大半実現なんです!
第3講
1。 今回は、前回の内容の補足から始めます。
1) 前回は、読む対象として、基本書、参考書、問題集を挙げました。しかし、実はもう1点大事なことがあります。それは、必要な法令集をそばにおいて必ず参照されることをお勧めします。 基本書等似かかれている事を必ず法令集で確かめることは、法律を勉強する上での基本です。ちなみに、私は大成出版社からでている
「マンション管理実務法令集
」を使いました。すこし高いようですが、受験対策としてだけではなく、皆さんが実務家として活躍される時にも必要ですので、何らかの法令集を是非購入しておいてください。
2) 問題集は、決してやりっぱなしにしないでください。自分が間違った個所や重要な個所は、基本書に書き込むか、前述のノート化作業を実践してください。楽に、合格するために!
話は少しずれますが、私は勉強の嫌いな人のほうが合格しやすいと思っています。なぜならば、すこしでも短時間で能率を上げる工夫をするからです。 ただ、えんえんと時間をかける勉強は最悪です。それで、(自分はこれだけがんばった)と自己満足に陥る。私は、そんなのは勉強ではないと思います。きつく言えば、単なる趣味です。
3) 試験がちかずいてきたら、各専門学校で模擬試験が開催されます。 これに参加するべきでしょうか?国家試験の受験経験のないかたは、必ず受けるべきです。それは、模擬試験を通じて勉強するというよりも時間配分に慣れる必要があるからです。だから、国家試験に受験経験のある方は時間がなければ受ける必要はまったくありません。 むしろそのぶん、自分のまとめたノートを繰り返し読むほうが良いでしょう。
私の場合は、模擬試験会場への時間がもったいないと思いTAC出版から出された「マンション管理士直前問題集」を自宅で解きました。この本は、数箇所に誤りの記述がありましたが(基本書と法令集をよく勉強すればわかるようになります。)、全体としては良く出来た問題集でした。さらに、この本を買うとTAC主催の模擬試験を無料で受験できるというメリットがありました。これを受験することにとり、全国レベルでの自分の進展具合がわかります。ちなみに私は、2千数百人中10番前後に入っており、自分の勉強方法が間違っていなかったと大きな自信になりました。(少し自慢させてください!)
次回からは、受験生活上の注意点にも触れながら、具体的に法律的な考え方を勉強していく予定です。
第4講
人間の頭は、ザルのようなものです。 上から水を入れなければ、すぐに空になります。 しかし、ザルの穴が大きければいくら水を入れても無駄となります。 では、ザルの穴を小さくするには、どうすればよいのでしょうか?
丸暗記ではなく、基本から考え込む、勉強することが必要です。 この訓練は、慣れるまで時間がかかるが、結局は一番の近道です。 丸暗記だとすぐに忘れるが、この方法だと、長期間有効だからです。
結局、勉強と言うのは、短期記憶を、いかに長期記憶化するかと言う点につきます。 論理的記憶が記憶の王道です。
2。
では、具体的問題に即して考えていきましょう。
私が受験時代にやった問題の中で、このような肢を見つけました。
「管理組合法人と理事の利益が 相反する事項については、他の理事が管理組合法人を代表する。」 ある予備校の精選問題集と権威のある受験雑誌に同じく記載されていました。
果たして、この肢は正しいでしょうか?皆さんは、どうお考えになりますか?
なに、簡単だ、区分所有法の51条に規定があり、この場合は監事が法人を代表することになっているから、 この枝は誤りだと考えられたのではないでしょうか? 問題の解説では、そのようにかかれていました。
法律の解釈で重要な点は、第一に、その条文が作られた意味、これを立法趣旨と言いますが、が大事です。51条の立法趣旨は、理事が法人の利益を犠牲にして。自己の利益を図ることを、防止する点にあります。 だから法人が不利益を受ける恐れがない事項については、たとえば理事が法人に対して無利息無担保の貸付をすることは、禁止されないと解釈されています。
問題文では、「他の理事が」と記載されています。、つまり、理事が複数いることが前提となっています。とすれば、利益が相反しない他の理事がその行為を代表すれば、法人の利益は守られます。 51条の立法趣旨に反しません。このような解釈は、次の点からも支持できます。 すなわち、管理組合法人では、理事が代表権を有していることが、原則なのです。例外的に、その代表権が制限されます。 法律を解釈する態度として、「原則は広く、例外は狭く」と言うことが、又一方では要請されます。 従って、理事が代表権を持つのが原則である以上、この場合は、他の理事の代表権を制限すべきではないし、このように考えても、51条の立法趣旨は何ら害されません。 このように考える事に対して、あるいは、次のような反対があるかもしれません。
いわく、実際上理事達は、うらでつながっているので、そのような場合に備えて、理事の代表権を制限すべきだと。 この点は、一考に値します。 だけど、そのような実際論を持ち出せばきりがありません。 あるいは、理事と監事が裏でつながっていることも予想されるます。 他の理事や監事と裏でつながっている場合は法人の利益は害されますが、そのときは、実際の裁判の中で、そのことを立証することにより防ぐしかありません。
この点読者の方は、どのように考えられるでしょうか?
尚、付言すれば、私が知る限り、この点について本の中でほとんどかかれていません。 以前述べた東京法令の本の中には、私と同じ結論がかかれています。 又、正解は、相対的なものです。、つまり、ほかに、確実な肢があれば、そちらを正解とするのは当然です。 でも、前述の肢だけで判断するのであれば、私は、間違いなく、正しい肢だと思っています。
第5講
1. 民法の意義
1) 日本の法学者の中では、法社会学的思考を、法解釈にまで高めたと言う点で、ダントツに優れた民法学者に我妻栄という方がいます。 彼の名著たる民法案内に、「法律を学ぶには、暗記しないで、理解しなければならない」とかかれています。 もって、瞑すべき言葉です。
2) さて、法は大きく分けて、公法と私法に分かれます。公法とは、国家と国民との関係を規律する法、例えば、憲法や行政法等です。 私法というのは、もっぱら私人間の関係を規律する法です。この国家の介入を受けない領域を市民社会といい、この社会では、個人が権利を得、義務を負担するのは個人がそれを希望した場合だけと言う「私的自治の原則」が支配します。 この中で、広く個人に対して適用されるのが民法(この意味で、一般法と言います)であり、商人同士の取引には商法、労働関係では労働基準法という特別法が、優先的に適用されます。
2. 民法の構造
では、私法の一般法たる民法は、どのような構造をなしているのでしようか?
1) 甲さんや乙さんが、その対象物を直接的に支配する関係(例えば、皆さんは、個人のものをたくさん持っていますよね、それをそのまま認めると言う関係です)
2) 甲さん、乙さん更には丙さん達がその所有物を売ったり、交換したりする場合に、それを認めると言う関係
3) 甲さんの物を乙さんが取ったりして侵害する場合に甲さんを金銭的に保護する制度
4) 甲さんや乙さんの家族関係や相続関係規律する制度
以上の様に分かれます。
そして、1)を物権関係、2)を債権関係(他人に対する行為請求という意味です)の中での契約関係、3)を債権関係の中の不法行為、4)を家族法と言います。4)は、昔は、身分法と言うように呼んでいましたが、封建的な言い方なので今では、このように呼ばれています。
実際の民法典で言うと、第2編(175条以下398条の22まで)が1)であり、第3編(399条以下724条まで)が、2)と3)であり、第4篇以降が、4)に該当します。 あれ!では、民法の第1篇ははなんでしようか? これは、パンデクソン方式といって個別的な法律関係を規定する際に、すべてに共通の規定があるから同じ規定をいちいち置くことは無駄ですので、それに先立って冒頭に置いたものです。これを「総則」といいます。
民法の勉強をする際には、このような抽象的な内容たる総則は、なかなか理解しにくいので、まず個別的な関係を規定する物権関係、債権関係や家族関係から始め、それらの一応な理解を得た上で、「総則」を勉強するのが一番効果的です。
3. 物件と債権の区別
1) 物権と債権の二本立てとしたのは、どうしてでしようか?
私人間同志の法律関係を十分なものとするためには、その権利を確実なものとする方法として、絶対的に確保する制度と、その権利の実現を、個人の意思にゆだねる制度に分けることが好都合と言う考慮からです。
.2) 基本的な理解として、物権は「物に対する直接の支配権」であり、債権は「特定の債務者に対する行為請求権」です。この点はっきりと峻別されます。 この点から、物権の特徴として、絶対性、排他性、優先的効力が挙げられます(この内容については、基本書を参照してください)。しかし現在では、実は、両者の中間的な性質を持った権利があります。 例えば、不動産賃借権は、本来は、債権ですが、借地借家法により修正を受け、自由譲渡性を除いて、物権と変わりがありません(賃借権の物権化)。
.4.
以上述べたことは、民法を勉強する上での、最低限の基礎知識です。しっかりおさえておいてください! 尚、次回は危険負担の分野を、条文を参照しなくても使い分けられるように勉強していきます。
. 第6講
1. 例えば、AさんがB分譲会社より新築のマンションを買ったが、引渡しの前にそのマンションが類焼により焼失した。 この場合、Aさんはマンションの代金を支払わなければならないのでしようか? この問題が双務契約における危険負担という問題です(民法534条以下)。
法律の解釈になれていない方は、何がかかれているのかさっぱりわからないかもしれません。 そこで、条文や教科書に書いてあることを丸暗記しようとされます。でも、前から言っているように、これでは子供の勉強にしかなりません。 それよりも、危険負担の制度趣旨や法理を考えれば条文に書いてあることがすぐに理解できます。 又、理屈で覚えた事は決して忘れることはありません。
尚、ここではその問題に入る前に、広く「双務契約上の債務における牽連性」の問題を概説して、まず全体での位置付けを確認していきます。 木を見る前に、森を観察します。
2. 双務契約上の債務の牽連性
イ。 双務契約とは、「契約当事者間に対価的な意義をもつ債務が生じる契約」を言います。 例えば、マンションを売買する場合、売り主は引渡しと登記移転債務を負い、買主は代金に支払い債務を負います。 この場合、売主と買主は総務契約上の債務として、特殊な関係に立ちます。この関係を、牽連性と言います。
ロ。 この牽連性は、3つの場面に出てきます。
成立上の牽連性 原始的不能の問題
履行上の牽連性 同時履行の抗弁権の問題
存続上の牽連性 危険負担の問題
です。
3. 成立上の牽連性
マンションの売買契約がなされたが、その契約の以前に、マンションが滅失していた場合です。 この場合、マンションの引渡しは実現は不可能(原始的不能)であり、どう処理するかについて、民法に明文の規定はありません。 しかし、双務契約では、引渡しと代金支払い債務とは対価関係にある点から、引渡しが不能になれば代金支払い債務も不能になると解釈されています。 即ち、形式論理では、引渡し債務と代金支払い債務は、別物ですから前者が無効だからといって、後者も無効にはならないはずです。しかし、双務契約では、両債務は密接な関係(即ち、引渡しがなされるからこそ、代金を支払うと言う関係)にあるので、一方の債務の無効は他方の債務をも無効とするのです。 従って、この場合、買主は代金を支払う必要はありません。
4. 履行上の牽連性
マンションの買主であるAさんが、分譲会社たるBさんから請求を受けて、代金をしはらってもBさんがマンションの引渡しや登記をしてくれると言う保証はありません。 Aさんは困ります。そこでAB間で特約がない限り、Aさんの代金支払いとBさんの引き渡し、登記をする債務は、引き換えにするのが合理的です。この事を、同時履行の抗弁権と言い、民法533条に規定されています。
この分野では、多くの問題点がありますが、マンション管理士の試験では、深入りする必要はないと思います。
5 存続上の牽連性
冒頭で述べた問題です。買主Aさん、分譲会社Bさんの契約がなされた時点では、マンションは滅失していませんので、両者の債務は、実現可能な状態にあります。しかし、契約制立後、その履行が終わる前にマンションが滅失したのです(後発的不能)。
この場合、Bさんの債務は履行する事が不可能です。 Aさんの代金支払い債務は、履行が可能ですが、果たして一方的にAさんに負担をかけても良いものでしようか? 目的物の滅失から生じる危険を、契約当事者のいずれが負担するのかと言う意味で、危険負担の問題と言われています。 民法は、これを3つの場合に分けて規律しています。
長くなりますので、次回以降に改めて考える事にします。
存続上の牽連性について、民法は3つに分けて規定しています。 即ち、その滅失が誰のせいで生じた
かと言う観点からです。
債務者たるBさん、債権者たるAさん、AさんにもBさんにも責任がない場合です。 尚、この場合の債
権者、債務者と言うのは、あくまで不能になった債務、即ちマンションの引渡し・登記をする債務を中心に
して考える点に注意してください。 代金債務を基準にして考えると、結論が逆になります。 この点、誤
解されている方が意外と多いのでビックリしたことがありました。
1. Bさん(債務者)に責任がある場合
この場合は、危険負担の問題ではなく、債務不履行(民法415条以下)の問題です。 従って、債
権者Aさんは、代金を支払って、本来の履行に変わる損害賠償(填補賠償)を請求できます。(但し、実
際には相殺されるでしょう)。又、契約を解除する事も出来ます(543条以下)。
2. Aさん(債権者)に責任がある場合
この場合は、債務者たるBさんの責めに帰すべからざる事由により履行不能となり、債務が消滅し
たのですから、危険負担の問題です。
特定物の場合、534条には規定があります。 同条は「債務者の・・・」と規定しています。これは、両当
事者に責任がある場合及び債権者に責任がある場合を含みます。 従って、Aさんは代金を支払わなけ
ればなりません。 きわめて妥当な結論なので、後に述べるような問題はありません。
その他の双務契約については、536条2項に規定があり、やはりその牽連性が否定されています。 債権
者に責任がある場合ですから、当然の規定です。
3. 両当事者に責任がない場合
この場合が、大変議論のある分野です。
先ず、前提として、次の事を理解しておいてください。
イ) 特定物・・・・取引の当事者が、そのものの個性に着目して取引の対象とした場合、その物を いいます。
不特定物・・・・当事者が、そのものの種類に着目して取引の対象とした場合
マンションは、従って特定物ということになります。
ロ)民法の規定では、特定物に関する物権の設定又は移転を目的とする双務契約については、
534条により債権者主義が採用されています。 即ち、債務の牽連性が否定されています。 又、それ以
外の双務契約については、536条により債務者主義がとられています。ここでは、「それ以外・・・」という文
言が規定されていますので、民法では、債務者主義が原則と言う事になります。
ハ) 債権者主義に妥当性があるのか?
ローマ法では「買主は危険を買う」と言われていました。 しかし、目的物の引渡しもなされな
い前に、買主に危険を負担させるのは、酷ですよね。 又、「利益の帰する所に危険が存する」ともされました。 即ち、目的物の価格が上がっても、売主はその上昇分を請求出来ないのだから、そのバランスを考えたみたいです。 日本の民法の起草者も同じ説明をしています。しかし、おかしいですよね! 価格の上昇に対応するのは、価格の下落であり、決して目的物の滅失ではありませんから。
この様に、債権者主義」には十分の合理性がありません。では、その不都合をどのように解釈論として修正したらよいのでしょうか?
ニ) 当事者」間に、534条を排斥する特約を認定する事が考えられます。 危険負担は任意規定ですから、特約が優先されるからです。 しかし、すべての場合に特約を認定するのは無理があります。
ホ) 534条は債権者が「何時から」危険を負担するかは規定していないとして、その時期を目的物の引渡しや登記のときだとする見解は有力です。 極めて、妥当だとは思いますが、裁判所はどのように考えているのでしょうか? 昭和25年の最高裁判決では、条文を形式的に理解する立場だと考えられています。もっとも、その後は明確な判例はありません。しかし、受験生としてはこの立場で考える必要があります。選択式の問題だからです。
ヘ) この問題は、学者の間でも非常に議論がある分野です。 しかし、マンション管理士としては、次の点を理解しておいたらよいと思います。
マンションは、特定物である
危険は、債権者にある。従って、危険は、買主が負担する という点です。
そして、何より重要な事は、民法は危険負担に関してどのような態度をとっているか、即ち、何ゆえ債務者主義が原則であり(当事者間の公平性の確保)、例外としての債権者主義の根拠(どの点に問題があるか)と言う点を理解しておいてください。この理屈さえ理解できれば、民法の条文をいちいち覚えなくても、正解にたどりつけます!
第8講

今回は、改正法について書いていきます。
1. 区分所有法
@ 共有部分の変更
特別決議につき、改正前は、「改良を目的とし、かつ、多額の費用をようするもの」でしたが、
今回は、「その形状または効用の著しい変更を伴うもの」となりました。
この趣旨は、従来いわゆる大規模修繕について、その決議要件について、見解が分かれて
いましたが、この様な修繕は、マンションの維持にとり必要不可欠だとして、これを普通決議
事項としたものです。
A 管理組合法人
改正前は、区分所有者の数が、30人以上必要でしたが、その制限が廃止されました。
管理組合法人のメリットについては、その有無についても意見が分かれていますが、必要
と思う管理組合にとっては、成立が容易になりました。
B 建て替え決議
建物状況が、要件から削除され、5分の4の多数決のみで、建て替えが可能になりました。
その他 ・集会の召集を2ヶ月前に
・建て替えに関する情報と提供
・説明会の開催
・隣接地を含めた建て替えも可能 などなどです。
C 規約・議事録等の電子化
法務省令で定める署名・押印に代わる措置が必要です。
D議決権行使の電子化
規約又は集会の決議により、法務省令で定める電磁的方法の行使が可能です。
E これら以外にも、当事者適格の明確化や規約の適性化などもありますが、是非とも勉強 しておいてください。
2.その他の改正
・「中高層共同住宅標準管理委託契約書」から「マンション標準管理委託契約書」
・消防法 従来の作動点検、外観点検、機能点検の3つが統合されて、「機器点検」に。
・建築基準法 1月の改正・・・容積率などの緩和。
7月の改正・・・シックハウス対策
大体、以上に尽きるとおもいます。

第9講
区分所有法の改正により、管理組合法人の設立が容易になりました。
管理組合法人のメリットは、
@ 法律関係の簡明化(管理組合が、法人として、権利義務の帰属主体となるから)
A団体財産と個人財産との区分の明確化
B 取引の明確化: 法人登記により、管理組合の存在や代表者が公示されるから、相手方は、 安心して取引できる
ということが、言われています。 しかし、現実には、管理組合が、法人化しているのは極めて例外ですし、ほとんどの場合 が、いわゆる「権利能力なき社団」といわれています。
では、その「権利能力なき社団」とは、どういうものなんでしょうか? なじみのない用語なので、惑わされる方も多いと思います。
そこで、今回は、これについて解説していきます。
1. 権利能力とは、「私法上の権利義務の主体となりうる資格」を意味します。 「能力」と言う言葉が使われていますが、
知的能力とは、関係がない点に注意してください。 どんなに知的能力が高いチンパンジィーでも、彼は民法上「物」であり、権利能力がありません。
2. では、誰に対して権利能力が与えられるのでしょうか?
民法1条の3は、「私権の享有は、出生に始まる」と規定しています。 即ち、同条は、人間が権利能力の主体である事を前提として、その開始時期を「出生」の時と明示しました。
「出生」の時期については、見解が分かれていますが、判例・通説は母体から全部露出した時点をもって「出生 と理解しています(全部露出説)。
その根拠は、全部露出して初めて、法律関係が明確になるからです。
余談ですが、刑法の世界では、体の一部が、母体から露出した時をもって、刑法上の人と認定します。これは、一部でも露すれば、十分犯罪(例えば、殺人や傷害など)の対象足りうるかからです。
尚、権利能力の始期については、相続や不法行為について、例外があることにも注意してください(886条・721条)
3. 権利能力の主体たりうる人を、民法学上、「自然人」と呼びます。
昔、私の友人が、大学の先生に「君、自然人とは、何かね?」と聞かれました。彼は、民法を勉強していなかったので 解答に窮し、「・・・それは、ターザンの事です!」と答えました。
私も一瞬「成る程!」と思いましたが、そんな訳はありません。
ターザンだけでなく、普通の人間も含みます。 自然人と呼ぶのは、
友人の言う「野生」の事ではありません。単に、生身の人間を意味するに過ぎません。
用語として、「人」でよいのでは?と思われるかもしれませんが、
生身の人間以外にも民法は、権利能力を認めており(法人)、それとの対比の意味で
、「自然人」と呼ぶのに過ぎません。
4. では、法人とは、何でしょうか?
@ 民法は、社団法人と財団法人を認めています。 いずれも、公益目的の場合にのみ認めら れます。
社団とは、一言で言えば、人の団体であり、財団とは、財産の集合のことを言います。
法人とは、法律により、権利能力が与えられる事を言います。
なお、民法は、その他に、「組合」と言う概念を認めています。 両者の区別については、星 の数ほど
議論がありますが、マンション管理士の試験では、理解しなくても問題ありません。
今回は、余談が多く、長くなりましたので、次回に持ち越します。 尚、以前にも述べましたが、少ない項目についてであっても 、基本から考える勉強をして下さい。
それが身につくと、どんなに知らない問題であっても、又、 新しい問題についても、必ず答えが出てきます。 口はばったいですが、それが法律の勉強だと確信しています。
近時のロースクール構想もその趣旨からでてきたものです。





第10講
今回は、「権利能力なき社団」についての続きからです。
1. 皆さんは、「権利能力なき社団」とは、「組合よりも、団体としての独自性の強い社団が
、いまだ法人格が与えられていない団体」と理解すればよいです。
これは、次のような場合に生じます。
@ 公益も営利も目的としない団体は、特別法がない限り、これに該当します。
例えば、同窓会・学会・クラブなど・・。 尚、町内会には、地方自治法260
条の2により実質的に法人格を与えられています。
A 法人格を取得する手続きをしていない団体
B 設立中の団体
2. では、権利能力なき社団にまつわる問題については、どのような法律的処理をすべき
でしょうか? 以下に、具体例をあげて考えていきます。
@ 権利義務の帰属について
「権利能力なき社団」と認定される限り、通常の社団法人と
ほとんど同じように考えられています。
EX:最判昭和39年では、「権利能力なき社団の資産
は、構成員に総有的に帰属する」と判示しました。
但し、この判決は、権利能力なき社団と認定されるには、
「団体としての組織をそなえ、「多数決の原則が行われ
構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、
「代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての
主要な点が確定している事を要件としている点にに注意してください。
A 登記について
最判昭和47年は、これを否定しました。 見解は分かれていますが
、判例に従う限り社団法人との唯一の差異という事になります。
なお、同じく名義が問題となるのは銀行の預金名義ですが、実務は
、団体に代表者名を添えて口座を作れるようになっています。
B 団体の債務と構成員の責任
最判昭和48年は、「・・構成員各自は、取引の相手方に対し
、直接には個人的債務ないし責任を負わない」と判示して、
有限責任論を展開しました。
この点、学説上は、権利能力なき社団の性格(営利的か公益的か)
により区別して考える見解が有力です。
C 代表者の責任
責任を負いません。その根拠は、法人や代理の場合に代表者や本人
が責任を負わない事との均衡からです。
D 構成員の債権者による差し押さえの可否
これは、不可能です。 なぜならば、個人と社団の財産を峻別する点に
、社団制度のメリットがあるからです。

「能率的な解答法」
問題文に「・・正しいものはどれか」「・・間違っているものはどれか」式の問題が大半ですよね。
前者の場合は、問題文の最初に○をつけます。それから、枝を読んでいきますが、同じようにその枝の頭に○か×をつけていきます。解答欄には、その印が合致する番号にチェックすればよいのです。
後者の場合は、同じように、問題文の最初に×をつけ、次に枝に自己の判断で○・×をつけていって、その印が合致するものが、同じく答えとなります。
少しでも、不注意によるミスを無くし、且つ、解答の時間を節約する為です。
尚、どうしても答えがわからない時は、更に問題文の前に☆印をつけておきます。 これは、一応全部解答した後に、多くの問題を見直す時間がなければ、その☆印がついた問題だけを見直すためです。
私は、問題文のページを少し折って、後で探しやすいようにしました。 両者を併用すれば、良いと思います。
第1問
財産の分別管理について、次の記述のうち、正しくないものはどれか。
1. 銀行口座は、理論上、収納口座(管理費等の請求・入金を行う為の
口座)、支払い口座(管理組合の諸費用の支払いを行う口座)、
保管口座(収納された管理費などや余剰分を保管するための口座)という3つの機能を持っている。
2 マンション管理化適性法により、修繕積立金等金銭を管理する口座(保管口座)は、管理組合又はその管理等を名義人とする事が明記された。
3 マンション管理業者は、預貯金通帳と印鑑を同時に管理することが出来ない。
4. マンション管理業者によるキャッシュ・カードの保管やインターネット・バンキングに係るパスワードの保持等は可能である。
「解説」
1. 正しい。
口座は、管理費等の請求から入金、諸費用の支払いや資金運用等の事務処理の過程において、以上の3つの役割を有している。
2. 正しい。
施行規則87条2項
3. 正しい。
同87条4項
4. 誤り。
平成14年4月24日の通達により禁止されている。 この通達を知らなくても、管理業者によるそれらの行為により管理組合の財産が流用される危険を考えれば、当然である。
第2問
マンションの排水施設に関する次の記述のうち、誤りはどれか。
1. 排水管には、台所・洗濯機・お風呂などの雑排水管、トイレの汚水管、雨水を排水する雨水管などがある。
2. 排水管の配管方式として、「床スラブ下配管方式」(床スラブを貫通して、下階の天井内に配管する方式)がある。
漏水などの事故の場合、直ちに下階に被害を及ぼす危険がある。
3. その他に、「床スラブ上配管方式」(各住戸の床スラブの上に配管する方式)がある。この場合、床スラブ上に横引き配管スペースが必要で、スラブ上に木組みなどの床を作る(2重床)。
4. マンションの配水管は、本管(縦管)は共用部分、技管(横引き管)は専有部分であり、このことは、いず配管方式の場合にもいえる。
「解説」
1. 正しい。 基本的な知識です。
2. 正しい。 配管スペースとして、下階に天井が必要となる。 古い分譲マンション・賃貸マンションなどで行われている方式です。
3. 正しい。 配管改修時には、他の住戸に関係なく各住戸内で工事をする事ができる。
最近の分譲マンションで主流の方式です。
4. 誤り。 最判12年3月21日は、「床スラブ下配管方式」が採用されているマンションについて、階下の部屋を通らない限り、排水管の修理が出来ないという理由で、これを共用部分と解するのが相当と判示しました 。この点、要注意です。
第3問
マンション管理の適性化法の推進に関する法律72条に規定する重要事項の説明などについて、正しくないものはどれか。
1. 説明すべき事項は、マンション管理業者が区分所有者及び管理者など説明すべき事項を限定的に列挙したものである。
2. 重要事項説明書への「記名押印」する管理業務主任者は、原則として、重要事項について十分に検討し、それらの事項が真実に合致し、誤り及び記載漏れがないかどうかを確認した者である事を要するが、実際に重要事項説明書をもってその説明を行う者である事を要しない。
3. 「記名」は、「署名」と異なり、当該管理業務主任者以外の者によりなされ又は印刷によっても差し支えないが「押印」については、当該管理業務主任者が自ら行わなければならない。
4. 区分所有者等に交付すべき書面は、そのすべてが「記名押印」をした書面(原本)であるべきものだが、区分所有者等の数が膨大であるなど業務に支障をきたす場合は、管理者などに交付した原本のコピー をもって、区分所有者などに対して、交付すべき原本に代える事ができる。
「解説」
1. 正しい。 平成14年2月28日の通達で明示されている。 但し、「それ以外にも、場合によっては、説明する事が望ましい事項がありえる」とされている点に注意。
2. 誤り。 後半部分につき、同通達は、反対の立場である。 無責任な重要事項の説明を排除する為には、当然のの通達である。
3. 正しい。 同通達による。 重要事項の説明につき慎重さを要求したものである。
4. 正しい。 実際の処理上、やむをえないであろう。
第4問
住宅品質確保法による新築住宅売主・請負人の瑕疵担保責任の特例につき、以下の記述のうち、正しくない者はどれか。
1. 新築住宅の売買契約において、売主は買主に引き渡した時から10年間は(特約により20年まで伸長可能)、住宅構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分で政令で定めるものの隠れた瑕疵について、担保責任
を負う。
2. 新築住宅の売主の瑕疵担保責任の起算点は、民法や宅建業法上のそれと同じである。
3. 売主に対して担保責任を追及できるのは、買主であり、買主が第3者に住宅を譲渡した場合、第3者は、売主の担保責任を追及できない。
4. 新築住宅の売主の瑕疵担保責任の効果として、損害賠償・瑕疵集修補請求及び解除ができるが,請負人 の場合は、解除が出来ない。
「解説」
1. 正しい。 尚、それらの具体例を必ず押さえておいてください(施行令6条1項・2項)
2. 誤り。 民法の瑕疵担保責任の起算点は、「瑕疵を発見した時から」である。 尚、買主は、瑕疵を発見した時から1年以内に権利を行使しなければならない点は、民法も同様である。
3. 正しい。 担保責任の規定は、契約当事者に与えられた権利だからである。
4. 正しい。 品確法87条。 この点は、民法と同様である(民法634条・635条参照)
問題 抵当権に関し、次の記述のうち、誤りはどれか。
1. 抵当権には、附従性・随伴性・不可分性・物上代位性という担保物権に共通の性質がある。
2. 附従性とは、抵当権は債権とともに発生し、債権が消滅すると抵当権も消滅する、というものである。
3. 随伴性とは、債権が移転すれば、抵当権もこれに伴って移転するという性質をいう。
4. 不可分性とは、債権全部の弁済があるまで、目的物全体に抵当権が存在するという性質である。但し、これには、例外がある点に注意する必要がある。
解説
1. 正しい。基本であり、必ず教科書で確認してください。
2. 正しい。 抵当権は、債権を担保する為のものだから、債権の発生なしには生ぜその存在する意味がなくなるから、当然に消滅する。
3. 正しい。 2.の解説と同じ根拠による。
4. 誤り。 例外はない。 尚、物上代位性については、各自教科書で確認しておいてください。 この点で、問題 となるのは、保険金請求権に対する効力とそれにつけられている質権との優劣関係です。
問題 マンション標準管理委託契約書について、誤りはどれか。
1. 同契約書は、管理事務の内容として、 一 事務管理業務 ニ 管理員業務 三 清掃業務 四 建物設備管理業務を掲げている。
2. マンション管理化適正法74条は、事務管理業務のうち、基幹業務の一括再委託を禁止しているが、本契約書では、事務管理業務全体につき、一括再委託を禁止している。
3. 事務管理業務は、基幹事務とそれ以外の事務管理業務に分かれる。
4. 基幹事務以外の事務管理業務は、一 理事会支援業務 ニ 総会支援業務 三 その他図書(設計図書、管理規約原本、総会の議事録等)の保管等からなる。
例えば、一の内容として、管理組合の契約事務の処理が含まれ「管理組合に代わって、管理組合が行うべき共用部分に係る損害保険契約、マンション内の専用使用部分の契約、第三者との契約等に係る事務を行う」と規定されている。 これは、管理組合のこれらの契約を代理して行うという意味である。
解説
1. 正しい。しっかりと頭にいれてください。
2. 正しい。この点、要注意です。 多くの方が誤解されていました。
3. 正しい。 基幹事務は、 一 管理組合の会計の収入及び支出の調定 ニ 出納 三 マンション(専有部分を除く)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 からなる。 それぞれの具体例については、教科書で確認 してください。
4. 誤り。 後半が誤り。 管理組合の行う契約に係る事務、例えば契約の相手方への連絡、管理組合の基づく契約書への記載等を管理組合に代わって行うという意味である。
問題 管理組合会計の一般原則につき、誤りはどれか。
1. 正規の簿記の原則とは、会計帳簿は、網羅性・検証性・秩序性に基づいて正しき記載されるべし、という原則である。
2. 真実性の原則とは、会計書類は、会計帳簿に基づいて、収支及び財務状況に関する真実な内容を表示したものとする事を意味する。
3. 明瞭性の原則とは、会計帳簿が区分所有者等の利害関係者に、収支及び財務状況を明瞭の表示したものである事を意味する。
4.
継続性の原則とは、会計処理の基準及び手続きについては、毎年継続して適用し、みだりにこれを変更しない事を 意味する。 従って、たとえ総会の決議によっても、会計処理の方法を変更する事は不可能である。
解説
1. 正しい。 なお、「簿記の方法」としては、複式簿記を原則とするのが望ましい。 又、「会計帳簿への記載方法」としては、発生主義が望ましい。 何故なら、月次と年次の比較が簡単に出来、又未収金の管理も簡単に出来るからである。
2. 正しい。ひらたくいえば、簿外帳簿は許されないという原則である。
3. 正しい。 貸借対照表及び収支計算書等の会計帳簿は、適切な区分経理と勘定科目に分類する事が、この点から要請される。
4. 誤り。 正当な理由があり、総会の決議など適性な手続きを経れば、会計処理の方法を変更する事が出来る。
問題 2002年区分所有法は、30条3項に、「規約は、専有部分もしくは共用部分・・・・につき、・・・・区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない」との規定を新設しました。 この点につき、妥当でない記述はどれか。
1. マンションの規約は、分譲業者により、分譲開始前に規約案が作成され、売買契約時に購入者である区分所有者全員から、書面で合意を取り付けることで設定されるのが、ほとんどである(原始規約)。
2. 原始規約は、分譲業者以外の第三者によるチェックがない為、実務上問題が多い。 例えば、等価交換方式により建築する場合、元地主に特別の利益っを与えることが多い。
3. 区法30条3項により、原始規約の衡平性の問題が解決されるが、規約全般についての衡平性の問題が未解決である。
4. 今回の改正では、原始規約の問題点のうち、区分所有者間の衡平についてだけ規定された。 従って、管理者・管理会社の指定、区分所有者でない分譲業者の敷地・建物に対する利用権の設定などについては、改正法によっても対処できない。
解説
1. 正しい。
2. 正しい。
3. 誤り。 原始規約だけでなく、規約全般について、適用される。 又、既存の規約にも、遡及的に適用される。
4. 正しい。 尚、これら残された問題は、宅地建物取引業法などの行政法規による取締りの是非の問題として取り扱われる。
尚、本問に関しては、有斐閣発行の「マンション法」を参考にさせて頂きました。 この書籍は、単に受験だけにとどまらず、実務的な問題につき言及されている点で、必須の参考書だと思います。
問題 抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲につき、次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1. 附加一体物、例えば抵当目的物の建具・畳・増築部分などには、抵当権の効力が及ぶ。
2. 従物、例えば母屋に抵当権が設定された場合の車庫・倉庫の様に、抵当不動産とは独立の物だがその効用を助けるものには、抵当権の効力が及ぶ。
3. 従たる権利、例えば借地上の建物に抵当権が設定された場合の借地権には、抵当権の効力が及ぶ。
4. 天然果実、例えば抵当土地上の農作物、及び法定果実、例えば抵当不動産が賃貸されている場合の賃料については、抵当権の効力は及ばない。
解説
1. 妥当。 民法370条。これに対し、抵当建物内の家具は、抵当不動産に付着していないから附加一体物ではなく、抵当権の効力が及ばない。
2. 妥当。 民法87条。 尚、近年の一戸建てなどで、1階部分が車庫になっている場合が多いが、この場合の車庫は抵当目的物そのものである。
3. 妥当。 民法87条の類推解釈。従って、抵当目的物を競落した買受人は、借地権を取得する。
4. 妥当でない。 天然果実については、そのとおり。 何故なら、抵当権設定後も抵当権設定者は目的物の占有を失わずに、自由に目的物を使用・収益できる権利だからである。 但し、例外が有る点に注意(371条1項但し書き)。
これに対し、法定果実については、抵当権の効力が及ぶ(民法372条)。但し、物上代位の 方法による(民法304条)
問題 都市計画を有効に実施する為には、先ず都市計画区域を定め、線引きをして、市街化区域・市街化調整区域を定める。 これを具体化するために、市街化区域には用途地域 (土地の利用目的ー用途ーをさだめるもの)を定める。 更に、補助的地域地区として、用途地域内に定められる4種の地域と都市計画地域内であれば定められる4種の地区がある。 この後半に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1. 特定街区とは、市街地の整備改善を図る為の街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における容積率、建築物の高さの最高・最低限度、及び壁面の位置の制限を定める街区をいう。
2. 防火地域・準防火地域とは、市街地における火災の危険を排除する為に定める地域を言う。
3. 美観地区とは、市街地の美観を維持するために定める地区で、この地域内では、建築物の敷地、構造、建築設備が、条例で制限される。
4. 風致地区とは、都市の風致を維持するために定める地区で、この地区内では建築、宅地の造成、木竹の伐採などが、条例で制限される。
解説
1.妥当でない。特定街区は、超高層ビルを建てるために定められる区域であるが、高さの最低限度は定められない点に注意。
2. 妥当。
3. 妥当。 都計法9条20項。東京の皇居外苑、大阪の御堂筋、倉敷など。
4. 妥当。 同21項。 東京の神宮外苑や上野、鎌倉市などが例。
問題 建築物の衛生に関する制限として、建築基準法に違反するものはどれか。
1. 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これに類する建築物で政令で定めるものの居室には、彩光の為の窓、その他の開口部を設けその面積は原則として、その居室の床面積に対して7分の1以上としなければならない。
2. 居室には、換気の為の窓、その他開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、原則として、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない。
3. 長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとする他、その構造を遮音性能に関し、政令で定める技術的基準に適合するものでなければならない。
4. 建築物の高さが31mを超えるものについては、原則として、避雷設備を設け、20mを超えるものについては、非常用の昇降機を設けなければならない。
解説
1. 違反しない。法28条1項9
2. 違反しない。 法28条2項。
3. 違反しない。 法30項。
4. 違反する。 避雷設備が20m超の場合であり、非常用の昇降機が31m超である。 法30条、33条。
問題 火災の種類と消化方法に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1. 火災が発生するには、可燃物(燃えるもの)、酸素、熱源(点火エネルギィ)が必要である。 これを、燃焼の3原則という。
2. A火災とは、木材、紙、繊維などの一般可燃物による火災で、冷却効果による消火が有効である。
3. B火災とは、石油類、可燃性液体、油類などによる火災で、空気中の酸素を遮断する窒息効果による消火が有効である。
4. C火災とは、電気施設など感電の恐れの有る火災で、可燃物を既に燃焼している部分から切り離し燃焼の拡大を中断する除去消火法が有効である。
解説
1. 妥当。燃焼するには、この3要素が同時に存在する事が必要である。 参照 防火管理の知識49ページ。
2. 妥当。これを冷却消火法という。
3. 妥当。これを窒息消火法という。
4. 妥当でない。 電気火災の場合は、3.と同じく窒息効果法が有効である。 尚、除去消火法とは、江戸時代に行われた方法ですが、現在ではほとんど使われず、大火災において空白地帯を作る時にやられるともあります。